加熱摩擦摩耗試験機のご紹介
- 作成日:2022年09月26日
熱処理事業部の後です。兵庫県立大学との共同研究の一環として、ボールオンディスク摩擦試験機に加熱装置を取り付けて、最大500℃での試験ができるようになりましたので、今回ご紹介させて頂きます。
金型を用いて金属を塑性変形させますと、変形熱や摩擦熱により金型が加熱されます。冷間鍛造金型におきましても金型温度は局所的に200~300℃に達する場合があります。
PVD膜の加熱摩擦摩耗試験は、高温領域での皮膜の特性を理解する上で重要となります。そこで、大学の常温摩擦摩耗試験機を使用させて頂き、最大加熱温度500℃を目標として、加熱装置の導入および高温用の治具の作製を行いました。加熱装置には回転試料のポイント加熱が可能な大気用赤外線導入加熱装置 (サーモ理工製)を導入し、作製におきましては熱伝導率を計算しながら部品を作製し、加熱テストや試行錯誤を重ねることで、最大500℃での試験が可能となりました。
本装置を用いまして、弊社のユニハードTCの摩擦摩耗試験を室温(29℃)、300℃、500℃で行いました結果を下図に示します。ユニハードTCは、炭素を含有し高硬度ですべり性に優れる皮膜です。常温では摩擦係数は0.2と低い値を示しますが、300℃と500℃では、摺動面に酸化物が形成されたため、摩擦係数は0.8程と高い値を示しました。
摩擦摩耗試験におきましては、今回ご紹介しました温度だけでなく、湿度、相手材、摩擦条件等によっても結果が変わるため、実際の使用環境に近い条件で試験を行うことが望ましいです。共同研究では、相手材にSUJ2、アルミ、亜鉛めっきボール等を用いて、弊社のユニハードのトライボロジー特性の評価を行っております。
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